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2019/02/10

selector - ルリグ、セレクター、繭の正体

このブログを読んでいるような人にもはや説明は必要ないかと思いますが、selectorにおいてもっとも重要なテーマは「親子関係」…より詳しく言うと、「母子関係」です。
そこは岡田麿里氏の母と隣人と氏自身へのとてつもなく深い愛憎が入り混じった世界です。のんびりアニメを楽しみたいだけなら、この記事は読まないほうがいいです。本当に怖いので
まあ、この記事はselectorに関するテーマ等をひたすらに邪推した結果をまとめてあります。正直、作品を単体で楽しみたいならば読むべきではない記事かと思いますので、回れ右は今ですよ。
TVアニメ「selector」シリーズの重大なネタバレ、および岡田麿里脚本/シリーズ構成作品に共通する意匠の考察が含まれます。
この記事においてはまともにストーリーに対する考察は行いません。メタ読み等の属性が苦手な方はスルーしてください。というかそもそもこの記事が正しいかなんてスタッフ以外わからないので話半分で読んでください。というか、9.8割は俺の妄想のつもりで読んでください

ルリグとセレクターの正体

ルリグの正体はセレクターです(ネタバレダイジェスト)。ルリグ(LRIG)は少女(GIRL)の逆さ読みで、そして身も蓋もないメタ読みですが、ルリグは母親です
また、ルリグはセレクターの願いを叶える存在ですが、後述の理由により母親説を大きく補完します。
ルリグが母親なら、当然セレクターは娘です。セレクターは女子中高生という「青春」時代の少女たちで、「どうしても叶えたい願い」を持つ者のみに限られます(小学生~高校生程度?大学生は…いたっけ?)。
彼女らにほとんどの場合共通する性質は、「どうしても叶えたい願い」を持っているにもかかわらず「願いを叶える努力を怠ってきた」ことです。青春期の少女らは十分「親にねだる」能力を有しているはずですが、それらを怠った結果願いとは程遠い生活を送っています。そして、カードを手に入れて初めてその意識を持つことになります。逆に、モータルはその努力を怠っていない、もしくは然るべき権力者にその旨を伝えているので、モータルはセレクターにはなりません。
これはstirredにおける白戸家(カードに解放を願う沙良と親に沙良を縛ることを願う由良)でもっとも顕著に描かれている性質です。
逆に、ルリグはセレクターの願いを叶える義務があります。これは、「親は子供の願いを叶える努力をするものだ」という意識の上に成り立っている設定です。そして、ルリグは人間ではありません。親は自分を殺して子供に身を捧げなければいけない、ということです。
呪いと言ったほうがふさわしいでしょう。他人の夢に押しつぶされ、他人として生き、やがて元の自分を失っていく呪い
アン/selector spread WIXOSS 6話
infected 8話において、ユヅキの初登場シーンは恐怖を煽る演出でしたが、これは「親は(ひたすらに子供の世話を焼くだけの存在ではなく)人間である」という、極めて当たり前かつ、子供がいつか絶対に気がつく事実のselector的解釈です。同時に、そんな当たり前なことに気が付かなかった岡田麿里氏の衝撃をモチーフにしています(自伝において語られるのは自分が少女という事実ですが)。
 ある時、下谷さんからの批評の中に衝撃的な一文があった。
「麿里という少女の……」
そこから続く文章よりも、私はその「少女」という言葉に衝撃を受けた。
当たり前なのだが、私はその頃、少女だった。
驚くべきことに、私自身はそこに気づいていなかったのだ。(略)私が読む小説や漫画に、少女はいろんな姿で登場していた。(略)そこに、登校拒否児というレッテルが貼られた汚らしい自分をあてはめることができなかったのだ。
私は登校拒否児で、そして少女である。
学校へ行けなかった私が「あの花」「ここさけ」を書くまで/文藝春秋/岡田麿里著/118~119頁
この衝撃は作中でいくつか描かれているのですが…

ただし、本編中にはるう子とタマに代表されるようにこの母子関係が逆転しているペアがいます。

繭の正体

劇中でシロ=タマとクロ=ルリグ=浦添伊緒奈=イオナ=ユキの母親として登場する繭ですが、劇中でもイオナの台詞にあるように彼女には複数の役割が与えられていると考えられます。
ふたせ文緒の話を覚えてる? 闇の少女と光の少女は、最初は一人の女の子だったって。あの女こそ、その始まりの少女。そして、あの女……繭は……私たちの母親
イオナ/selector spread WIXOSS 7話
平気よ……繭に私は殺せない。私は繭の友達で、繭の子供……そして、繭自身なんだから……
イオナ/selector spread WIXOSS 8話
まず当然大きなものは「子供を育み、愛し、罰する母親」。次に「外の世界へと飛び出していきたい少女」。そして、「社会」「(家庭)裁判所・裁判官」等も含まれていると考えられます。
母親からの絶対的な権力という意味合いも強いのですが、セレクターバトルのほぼ全てが彼女の適当な裁量によってしか動いていないところ、セレクターとルリグが親子ということを考えると、社会や社会的制裁を与えるものという意味合いを極めて強く感じます。
また、繭を取り巻く環境はいくつかの閉鎖的な環境を同時に演出しています。
岡田麿里氏の環境に照らし合わせて考えると、「実家」、「学校」、場合によっては「(三方を山に囲まれた)秩父」の3つが大きなものです。時々繭の部屋の元を尋ねる「何か」は定期的に訪れることになる学校の環境でのインプットを示唆しているものと考えます。

ルリグとセレクターの大小関係

岡田麿里作品には親子(母子)関係がいろんなところに出てきますが、同時によく登場するのが大小関係です。selector作中においてはルリグは小さな妖精のように描かれていますが、これにも、少なくとも意味はあります。
大小関係は対等ではないことを表します。逆に、大小関係のない二者は対等であることを表します。本編を観た人ならピンと来るかと思いますが、これは「ルリグの宣誓」とinfected 12話(ユヅキ)とspread 12話(ウリス・タマ・マユ)で出てくるセレクターと同じ大きさのルリグのことです。
また、この大小関係はたびたび入れ替わることがあります。上述の母子関係が逆転したペアもそうなんですが、他の作品でも大体そんな感じです。
作品名 子供 母親 備考
selector セレクター(大きい) ルリグ(小さい) 関係逆転・大きさの変化あり
さよならの朝に約束の花をかざろう メザーテ(・イオルフ?) レナト(恐らくこっちが大きい) 美術監督東地和生氏のツイート
ひそねとまそたん 変態飛翔生体・OTF(大きい) Dパイ(小さい) 超大型OTFはより大きく、より幼い(赤ちゃん)

キャラクター造形について

ここでいうキャラクター造形とは、キャラクターの性格やデザインに込められたメタファー等の思想を意味します。
まあ、この部分の考察はわりと発展途上なんですが…

紅林遊月

紅林遊月を象徴する言葉は「許されない願い」「性」です。意外にも恋愛はないんですね(あったとしても優先順位が低い)。
そもそも、紅林遊月の真の願いは「香月と恋人になる」ではなく、「紅林遊月と紅林香月が恋人になる世界がほしい」です。これらは台詞の端々から垣間見える思想です。
ずっと私は間違ってた。間違ってるって思わされてた。許されない行為……許されない気持ち……間違いなんかじゃない。反転してみせる。私の想いが許されない世界なんて、全て反転して、私は、香月の隣に……!
紅林遊月/selector infected WIXOSS 8話
この記事を読んでくれたら自然とわかることかもしれませんが、遊月も派手に「何もしてない」子でした。
――なんだって?このままでいい?

――うん。それでも、一生香月を好きでいる。香月に彼女ができて、結婚して、子供が産まれて、それでも一生嘘をつき続けて、おばあさんになっても、一生、一人で……一生好きでいようって
花代・紅林遊月/selector infected WIXOSS 9話
それを動かしたのが花代との出会いでした。ただ、そこは本質ではありません。遊月を最終的にユヅキたらしめる言葉は、「許されない願いなんてない、全ての願いは尊い」「思い通りにならない世界を動かす前に、自分を変えろ」です。

「性」はそれに付随する要素です。「許されない願い」と思春期の女の子が抱きがちなテーマの恋愛を掛け合わせたら、まあ「インモラル」にもなりますわね。ところで、ユヅキのキャラクターデザイン、覚えてます?
selector spread WIXOSS 9話
ユヅキは、胸に2つの月のバッジ、腰を布のようなものでぐるぐる巻きにされて、下半身は獣(セントール、つまり馬)のように毛?が逆立っています。女の子、月、下半身、獣…あっ(察し)、ふーん…
――昨夜は帰ってもすぐ寝ちゃうし、気になってた

――女子にはね、そういう日もあるの! 覚えときたまえ!
紅林香月・紅林遊月/selector infected WIXOSS 8話

この造形は遊月が花代になってからも受け継がれています。
――近頃の遊月、なんか変だよ……

――前にも言ったよね。近頃おかしいって。いつからの私がおかしい? 1週間? 2週間前?

――遊月……?

――前の私と今の私、どっちが好き?
紅林香月・紅林遊月(花代)/selector spread WIXOSS 10話
そりゃまあ、女の子ならそれぐらいのスパンで“そんなこと”ぐらいあってもおかしくないんじゃないですかね…
香月が「理想の男の子」ならば、遊月は「普通の女の子」といったところでしょうか。まあ、あの子らはみな「普通の女の子」なんですけどね。

ところで、紅林家、作品を通じてある奇妙な点があるのがわかりますか?
あの家はふたりの部屋以外(香月の部屋は全く描写されませんが)、生活感が欠けたショールームのような家(公式でもこれに類ずる言葉で紅林家を表現してます)に住んでいて、両親の存在は台詞からほのめかされる以外まったくもってありません。これは、紅林遊月と紅林香月が「理想の夫婦」であって、このふたりだけで家が完結しているからではないかと推測します。
メインキャラクターではるう子、一衣、晶は家族が確かに描写されていて、伊緒奈は財閥の娘であることを何度も示されるのに対して、遊月だけ全くふたり以外の紅林家が示されないのはあまりにも不気味ですね…

植村一衣

一衣も派手に「何もしていない(していなかった)」子のひとりです。
いい天気。私ね、東京に引っ越してきてから、ビルばっかりで空がないなぁって思ってたんだ。でもちゃんとある。ちゃんと青いんだね。なんで気づかなかったのかな、私。ずっと下向いてたのかな……
植村一衣/selector infected WIXOSS 5話
そして、一衣が教えてくれるのは周りを見ることの大切さです。図書館や手帳に代表されるように一衣は気になったことをとことんまで調べるタイプの子として描写されていますが、なんと周りの人間にその関心はまるで向いていません
わざと……? わざと負けようっていうんですか、るう子さん!? そんな風に勝ったって、嬉しくありません! 意味ありません!
もう知られてしまっていますから、言います。私は友達がいませんでした。青森から東京に引っ越してきて、言葉もなまってたし、グズでしたから、一人になって……でも、そんなとき、青森の友達から貰った手紙を読んで、何度も読んで、救われて……私にとって、友達って、とってもきれいなものなんです! だから、ズルなんてして、それで勝ってまでほしくないんです! ちゃんと、自分で頑張って、それでちゃんと欲しいんです!
植村一衣/selector infected WIXOSS 3話
一衣の理想の高さは素晴らしいことだとは思うのですが、彼女は周りの人を友達になれるかどうかという点を無視して周りを見ていたのです。遊月は二つ返事で友達になってしまったのに。それは皮肉にも、敗北の瞬間からプレイバックが始まります。
一衣はinfected 5話で伊緒奈に敗北しセレクターバトルに敗北することになるのですが、一衣の視線の動きがここでは非常に大切な演出のひとつです。
太陽のもと明るく輝く、広い空、それを見上げる視線と、負けて自分の足と地面以外何も見えない真下を向いて歩く一衣。一衣が今までどこを見てきたのかは…
selector infected WIXOSS 5話
selector infected WIXOSS 5話
それだけじゃない。二度と友達を作れなくなる。さっきの一衣を見たろう。きっと、友達になりそうな因子を持つ人間に近づくと、激しい身体的苦痛を感じるようになったんだ
花代/selector infected WIXOSS 5話
友達になりそうな因子という謎ワードのことはおいといて、そういうことだと思います。
一衣は最終的に再びセレクターとなり、これを克服していくことになります。そもそも一衣が何をしてきたのかを理解させるための展開だったとしたら、この不自然とも言ってもよいペナルティのフェードアウトは簡単に説明がつきます。そもそも繭含め人の心は機械と張り合えるほどロジカルではないので。
ユヅキとるう子との触れ合いを通じて一衣は成長して、最終的に晶に抵抗するまでに心を強くできました。この辺はまた別の視点で成長を見ていきたいとは思っています。この記事ではここまで。
あと、周りが見える、見えない、というのはspread 6話で扱われたテーマですね。一衣は周りを見れるようになった結果逆に晶に連れ去られてしまうのですが…

シロ=タマ・クロ=ユキ

シロとクロは劇中でもそう言われている通り、繭の半身(言葉の綾)です。この辺は別の視点で見ていくとわかりやすいので軽く触れますが、このふたりは「まともな教育を受けられなかった/願望を押し付けられた子が外の世界で出会いに触れ、世界を知り、知見を広め、親元に戻ってくる」ことがもっとも大きいテーマです。これは岡田麿里氏の半生と重なります。
タマとユキ(と繭)は岡田麿里氏の性格のあっちとこっちという点ももっとも氏に近いキャラクターだと思います。
キャラクターデザインの話にも多少は触れてみると、共通するデザインは羽根=羽ばたく力、イオナ・クロに使われているデザインは枷です。この枷は思考=頭と行動力=手足を縛り付けているのですが、イオナはレベルが上がると羽根が巨大化して身体を包み込めるまでの大きさになります。

花代

嘘つきとして定評のある花代さんですが、彼女もまた物語において重要な役割を担っています。
そもそも、名前とキャラクターデザインは、「花嫁」がモチーフになっています。
ルリグ時代の最大の嘘と一部に定評のあるあの長い髪と頭の花飾りはヴェールを、衣装はウェディングドレスで、レベルが上がると頭に出現するヒートシンク冠のような飾りはクラウン、さらに登場するヴェールも花嫁を彷彿とさせます。
レベルが上がると出てくるトゲとかは、恐らく「綺麗な薔薇には棘がある」、といったところでしょう。
selector infected WIXOSS 8話
そもそも、この物語において一番最初にルリグの宣誓と乗っ取りを披露するキャラクターで、ルリグの宣誓が意味するもの(後述)を考えると花嫁と言う他ないと考えます。母親としての幸せ(=子供の幸せ)と自分の幸せの間で苦しむのは、ふたせ文緒でも使われたテーマですね。まあ、彼女も不器用な恋をする年頃の女の子には変わりないのですが…

浦添伊緒奈

浦添伊緒奈は浦添伊緒奈でも、なんの他意のない方の浦添伊緒奈です。回りくどい言い方をせずに言えばCVが能登麻美子でspread 10話に出てきた浦添伊緒奈のことです。
彼女は、離婚によって親権を失った母親、もしくは子供と離れた里親で、あのシーンはその娘との面会を表しているのではないかとみています
根拠としては彼女の立ち位置が「ルリグと別れて久しく、そしてルリグ=イオナと再会する」というところです。

セレクターバトルのシステムが示すものは何か

セレクターバトルが一体何を表しているのか?ということになるのですが、これらは一言でまとめると「人生」を表しています。
セレクターはルリグを手にすることで親子関係を構築し、人生が始まります。セレクターバトルを戦い抜くという人生経験を経て、セレクターは次の3つにひとつの結末を迎えます。
  1. セレクターバトルに勝利する
  2. セレクターバトルに敗北する
  3. ルリグを破棄し、セレクターバトルから降りる
これらは明らかに人生の(社会的に求められる)勝利・敗北を表しています。セレクターバトルに勝利した場合、ルリグの宣誓=結婚式=結ばれる=出産を経て、新たなセレクターの元へと旅立ちます。これは新たな人間関係に身を置く、「見合い結婚」もしくは「駆け落ち」の暗喩で、そこで自らの子供と対峙することになります。
ルリグはセレクターを勝利に導きます。しかしながら、これは義務ではありません。義務ではありませんが、セレクターはルリグを信じて戦い、最終的にルリグはセレクターの身体を乗っ取ることになります。こうしてルリグは再び人間としての生を受けることになりますが、これは自由を意味しません。ルリグはセレクターの願いを叶える義務を負います。死ぬまで子供という枷に縛られるのです。
また、願いを叶える義務を果たせなかった場合、ルリグは消滅します。これは社会的な制裁や「母親失格」等の意味合いを持っていると考えられ、この論において繭が社会的制裁を課せられる権力者の暗喩という説の土台となっています。
逆にセレクターバトルに敗北した場合、これは何らかの形での人生の失敗を意味します。学業での失敗、仕事での失敗から再起不能になり、引きこもりとなる人は少なくないかと思いますが、セレクターバトルに敗北した一衣と晶二者共に引きこもりになったという描写があるので、恐らく間違いないと思います。岡田麿里氏も中高時代の大半を引きこもり不登校で過ごした経験があります。
そして、セレクターバトルから降りるという選択肢ですが…ここまで書いたら恐らく皆さん意味を理解していただけるかと思います。ただし、実際にこの選択をしたセレクターが本編中にひとりも描かれていない点は、-peeping analyze-でも坂口・リメンバ・清衣の三者で描かれているように、「死ぬことは救いかもしれないが、やはり生きてこそ真の救い」ということです。
――もうちより、セレクターバトルのこと大体分かったんだから! 勝っても地獄、負けても地獄、そんな八方塞がりの無間地獄に平気で放り込むようなやつなんだから、エルドラは!

――へへ、ま、保身が第一っすよ。でもでも言ったじゃないっすか! ちよりの願いはウィクロスの世界に入りたいってやつでしょ? ちょうどいいじゃないっすか
ちより・エルドラ/selector spread WIXOSS 9話
この台詞は、まあ言い換えてしまえば「生きるも地獄、死ぬも地獄」なわけですね。負けは死ぬじゃないけど、まあ似たような地獄です。人生は八方塞がりの無間地獄、そういうわけなんです。

棒が入ったらね…

棒が入りました。確かに、光の棒が。
selector spread WIXOSS 12話
これが意味するものは何か?るう子の願いの言葉を思い出してみましょう。
ルリグになった女の子たちを、人間にして! そしたら、マユたちも元に戻るけど、タマだって、ユキだって、人間になれるかもしれないから!
小湊るう子/selector spread WIXOSS 12話
たびたび作中で語られるテーマとモチーフと設定とはいえルリグは人間じゃないってはっきり言っちゃったぞこの子。この願いじっくり考えてたらルリグになって失った元の体を回復すること可能なのか?ってところはおいといて、これはつまり現実に当てはめると次のようなものになります…「全ての母子関係の否定」そして「全ての母親を家庭・子供から解放して人間らしい生活を取り戻してほしい」中学二年生がたどり着く思考じゃないです。子供(≒自分)の幸せではなく、母親の幸せを取った選択なんです。岡田麿里氏は自伝でも語られているように、要は引きこもりの不登校児だった頃の、「なぜ私のようなクズに母は付き合って世話をするのか」「なぜ私を放り出してしまわないのか」という点からこの結論が生まれたということは想像に難くありません。

おわりに

そもそも、この物語のタイトルは「selector」、「選択者」です。彼女たちはセレクターとして「選択を迫られる」ことになるのですが、それまでそんなことはしてこなかったのです。
それでも、この戦いに身を投じ、それぞれに得るものがあったのです。それは、選択は大事だよ、という、とても当たり前のこと。
セレクターバトルの世界は、終わった。カードに閉じ込められていた、ルリグとなった少女たちは、元の姿へ戻ることができた。セレクターバトル……それは、どんなゲームだったんだろう。一人の女の子の、憎しみと、悲しみから産まれたゲーム。選択肢のどれを選んでも、悲しみしかなっていない、壊れたルールのゲーム。だけど、そのゲームの中で、私たちは、見つけた。ルールにはない、自分だけの選択肢を、見つけた。ゲームに参加しなければ、知ることのなかった、大切なものを、見つけた。そして、自分で選んだ。だから、これからも私は、探し続ける。今は見えない、新しい選択肢を。そう信じ続けることが、私の、るうの、選択!
小湊るう子/selector spread WIXOSS 12話
そして、そんな簡単なことに気づかなかった岡田麿里氏の気持ち。母親への気持ち。外の世界での出会い。それらが…こう…ね?煮詰まって…闇鍋的に…煮詰まって…で、この作品は産声を上げたのです。そりゃ販促のアニメで言うことじゃあないだろ、という気持ちは置いといて
その気持ち、そのエピソード、そのテーマから、我々も学ぶことができれば、きっと氏の冥利に尽きるのではないでしょうか。うん、この部分は完全に妄想ですが。

あ、もちろん、ストーリーやキャラクターの気持ちとかはこの考察とは大抵無関係です!混同なきよう。

画像:(C)LRIG/Project Selector

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